こども英会話って意味ある?ない?そのお悩みにお答えします

駅前の英会話スクールにこどもを入れようと思ってるんだけど、月に一万円以上かかるし迷ってる。旦那は幼児英会話は意味ないって言ってるし・・・でも英語は大事ってみんな言うし・・・どうしたらいいの!?

こういった疑問に答えます。

目次

「習い事」レベルの取り組みでは、話せるようにはなりません!!!

まずはこの、ディズニー英語システムの卒業生たちの英語を、2~3人ぶんでよいので聞いてみてください。

みなさん、発音もすばらしく、英語をペラペラと話せているようにしか見えませんね。

たしかに、いちばん最初の「看護師になりたい」とおっしゃっているお子様は、かなり自由に話せていると思います。考えながら、言い間違えながら、話しているからです。

一方、他の子たちは、質問の後すぐに長い文章を一気に話していて、丸暗記した文章を話しているように思えます。

「英語が話せる」とひとことで言ってもいろんなレベルがあるとは思いますが、多くの人が期待するのは「それなりに自由に、なんでも言える。」のレベルであり、決して「丸暗記した文章を声に出せる。」では無いですよね。

「 それなりに自由に、なんでも言える。 」のレベルに達するには、3000時間程度のちゃんとした訓練が必要と言われています。

ちゃんとした訓練、というのは、聞き流しではダメで、集中して頭を使った状態の訓練のことを言います。

では、この、3000時間の訓練を、習い事レベルとしてはけっこうがんばったケースとして「平日は毎日30分やる」の想定でやったとして、どれくらいかかるかを計算してみましょう。

30分 ✕ 5日 = 150分 = 2.5時間 (一週間の時間数)
2.5時間 ✕ 52週 = 130時間(一年の時間数)
3000時間 ÷ 130時間 = 23.0769 (3000時間まで何年かかるか)

なんと、23年もかかることになってしまいました。
「 それなりに自由に、なんでも言える。 」は、そんなに甘くない、ということですね。

なお、習い事として「嫌々やらされている」状態だと、週に2~3時間がまあ限界だと思いますが、面白くてハマっている状態だと、週に10時間とか平気でいけますので、数年で3000時間達成するのも現実的になってきます。本当に話せているお子さんは、きっと、この道を通っているのでしょう。

ちなみに、TOEIC900点を超えている私も、いまだに「それなりに自由に、なんでも言える。」のレベルには達しておらず、某所の英語力診断の結果によれば「あと800時間ガンバレ」とのことでした(><)。

絶対にやめるべき「中途半端な英語環境」!セミリンガルの危険性とは

習い事レベルでは話せるようにならないから、ということで、テレビも本も全部英語、親からの語りかけも全部英語、という極端なことをされるご家庭もあるようですが、これだけは絶対にやめたほうがよいです。

たしかにそうすることで、英語での日常会話ができるようにはなるでしょう。

しかし、私達の言語能力には、口に出してコミュニケーションに使うための「会話能力」のほかに、頭の中で考えるための「認知能力」というものもあり、この「認知能力」の獲得には、「会話能力」の5倍程度の時間がかかると言われています。 (出典 https://www.shidai-tai.or.jp/topics_detail8/id=1117 )

海外に移住することで、「会話能力」も「認知能力」も英語にしてしまうのならば、まあアリかもしれません。しかし、日本に暮らしながら中途半端な英語環境で暮らすと、どうしても日本語の「認知能力」が遅れる、もうちょっと端的に言うと、ふつうのお勉強が遅れてしまいます。

この、認知能力の遅れは「セミリンガル」と呼ばれています。

英語が堪能なことで知られている芸能人の渡辺直美さんも、実は、このセミリンガルに悩まされていたそうです。

ただ、一つだけ気になったのは、IQが85と平均値よりも低めで、本来ならテレビの仕事をするのが難しい数値だと言われたこと。『直美さんは地頭がとにかくいいから今まで自力でやってこれたんだと思います』と──。というのも、私0歳から3歳までに覚えなきゃいけない言葉を覚えていないらしくて。それが顕著に表れたのが文章を作るテストで、内容はすごく面白いんだけど誤字脱字が多いのもその影響だと──。実際、私も学生時代は自分のことをバカだと思っていたんです。日本で育っているし、日本語はわかるんですけど、先生の言っていることが深く理解できなくて、質問と答えがまるで噛み合わなかったり。

渡辺直美が語る「本当の私」ロングインタビュー

その診断を受けてから、自分でも結構調べたんですけど、意外と多いみたいですね、ダブルリミテッド(セミリンガル)という母語が確立できていない状態の人が。お医者さんからも、NYに行って英語覚える前に日本語覚えてくださいって(笑)。日本に住んでいながら日本語も台湾語も中途半端で、この世界に入ったのは18歳からですけど、そこから覚えた言葉が今の自分を支えている。それまでは日本語の引き出しが少なすぎて、自分の感情すら何て表現すればいいのかわからなかったり、思っていることを言葉で表現できなかった。

渡辺直美が語る「本当の私」ロングインタビュー

子どものモチベーションは気にせず続けてたら、英語嫌いに・・・

これを読んでいるみなさん自身、これまでの人生で、英会話に対するモチベーションが高まったことはありますでしょうか?

もしある方は、海外旅行や海外出張のときに、困った思いをした後ではないでしょうか?

そして、そのモチベーションは、日本で暮らしているうちになくなってしまいませんでしたか?

ほとんどの場合、日本で普通に暮らすぶんには、英語が話せないと困るようなことはありません。

大人ですらそういう状況なので、子どもにはもっと必要ないでしょう。

それなのに、「将来きっと役立つから」ということで押し付け続けると、子どもはそのうち英語が大嫌いになってしまいます。

子どもならではのメリットを活かしつつ、楽しめるものを中心にしよう

発音は子どもが圧倒的有利

日本語と英語とでは、よく使われる音の高さが違います。

そして、大体10~11歳までのあいだに、言葉として聞き取る音の高さが決まってしまうと言われています。 (出典 https://world-family.co.jp/cetimes/newborn/english/article-22.html )

つまり、10歳ぐらいまでに英語の音に慣れることができれば、たとえば日本人が苦手なLとRの音の聞き分けが、難なくできるようになるかもしれません。

実際、今6歳と9歳の娘たちの英語の発音はとてもよく、中学生スタートの私が全く出せそうもない音を簡単に出しており、いつも「パパその音全然違う~」と言われています。

英単語の暗記もハマれば強い

子どもは大人よりも、丸暗記が得意です。

九九を小さい頃に覚えるのはそれが理由ですし、子どもが国旗や電車の名前にめちゃくちゃ詳しくてびっくりすることは、わりとよくある話なのかなと思います。

娘たちがけっこうハマっているlittlefoxの英単語ゲームをやると、お話に出てきた単語については、びっくりするぐらい覚えていますし、私「あくびって英語でなんだっけ?」娘「Yawn(即答)」ということもけっこうありますので、英単語の暗記についても、子どもはかなり有利と言えるでしょう。

お勉強・習い事要素はほどほどに、楽しめるものメインで!

「 それなりに自由に話せる」を目標にするならば、3000時間というやたらと長い時間がかかってしまうのは、紛れもない事実です。

その事実を受け入れるならば、親としてベストの対応は「嫌いにならないレベルで英語学習のきっかけを与え、楽しめるもので英語に触れる時間を増やしつつ、ツボにハマるのをじっと待つ」かと思います。

3000時間のうちの1000時間をこどものうちに稼げれば、後々けっこう楽にもなるかと思いますし、たとえばハリーポッターにハマって原著に興味が出る、みたいなラッキーがあれば、子どものうちに3000時間超えられるかもしれません。

まとめ:「話せる」を目指すのは無謀で危険。無理なく続け、ハマるのを待とう!

普通に日本で暮らし、習い事としてぼちぼち取り組んだレベルでは、英語を話せるようにはなりません。

また、習い事の範疇を超えた取り組みを子どもに押し付けると、セミリンガルや英語嫌いの危険性があります。

入れ込みすぎず、期待しすぎず、まあまあ楽しい習い事の範疇でずっと続けることで、大人になってからの学習を確実に楽にする。

そして、子ども自身が自分の意志で習い事の範疇を超えるのを待つのがベストであり、我が家で実践していることでもあります。

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この記事を書いた人

TOEICスコア 950(リスニング満点)
東京大学大学院 工学系研究科 卒業
ゲームプログラマー

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